紫陽花の短編集物語#1

前半 彼氏のこと

自分の部屋にて
彩華(私には、最高な彼氏がいる)
彩華、颯真とライン中。
颯真≪大好き!≫
彩華≪私も!≫
颯真≪オレのほうが好き!≫
彩華≪私の方が!≫
彩華(いつも、こんな感じで会話してます! どっちがどれくらい好きとかの対決ばかり。私のことを一途に思いを伝えてくれたり、優しくて、イケメンで。もう、完璧なの!)
彩華、笑顔だった顔が笑顔じゃなくなる。
彩華(でも・・・。キス、したことないんです! ずっと、したいと思ってるのに・・・。どうしたら、できるのかな・・・)

【彼氏とキスがしたい! 後半に続く】


後半 幸せなファーストキス

語り≪風がほんの少し肌を撫でるように吹き抜ける、夜の公園。ベンチに並んで座るふたりの間には、静かな時間が流れていた。遠くから虫の声が響いて、世界がゆっくりと呼吸しているみたいだった。≫
颯真:「……ねえ、彩華。」
彩華:「うん?」
颯真はゆっくりとこちらに向き直って、少しだけ言葉を選ぶように間を置いた。
颯真:「今すごく緊張してるんだけどさ……たぶん、君が隣にいてくれるから、ちゃんと伝えたいって思える。」
彩華:「……うん、私も少し緊張してる。でも、それってなんか嬉しいかも。」
颯真は、そっと彩華の手を取った。手のひらが触れあった瞬間、やさしい温かさが伝わってくる。
颯真:「もし……嫌じゃなかったら、この気持ちをちゃんと伝えたい。言葉じゃなくて――」
その言葉の続きを待たずに、彩華は目を閉じた。
語り≪風が止まったような静けさの中、ふたりの距離がそっと、静かに縮まっていく――≫
二人は、幸せなキスをした。


【彼氏とキスがしたい! 番外編に続く】


番外編 雨の日の幸せ

語り≪休日の午後、空は静かに雨を降らせていた。 窓の外を濡らすしずくの音と、部屋の中のコーヒーの香り。
ソファに並んで座る彩華と颯真。彼の膝には、読みかけの小説が裏返しに伏せてあり、彩華はその肩にそっともたれていた。≫
颯真:「雨の日って、なんか世界がゆっくりになるよな。」
彩華:「うん。ふたりだけの時間って気がして、ちょっと好き。」
頷いた彼の指が、彩華の髪に触れる。なぞるように、丁寧に。
颯真:「たとえば今日のことも、ちゃんと覚えてたいって思う。」
彩華:「……なにそれ、また詩人みたいなこと言う。」
くすっと笑って見上げたその先で、颯真も目を細めて笑っていた。
語り≪ふたりが静けさに包まれたまま、何も言わずにマグカップを片手に過ごす時間。 テレビも音楽もつけずに、「ただ隣にいるだけ」の心地よさ。≫
彩華がふいに言った。
彩華:「ねえ、これからも……こういう日がずっと続くといいね。」
颯真は頷いたあと、指先でそっと彩華の指を握った。
颯真:「続けよう。ふたりで、ちゃんと。」

【彼氏とキスがしたい! 完結】