夏なのに涼しいしね

 『幸せになりたい』
 そう短冊に書いたのは、あまり学校に来ない人だった。
 その人は途中でいなくなり、帰る時までとうとう姿を現さなかった。
 ゆっくり支度をして校舎を出ると、他に誰もいなかった。
 と、突然黒い影が私を包んだ。
 見上げると、あの短冊を書いた人物の顔が信じられない速さで大きくなる。下にいる私に近づくたび。
 ついに表情さえも鮮明になる。
 その人は幸せそうに笑っていた。