じりじりと太陽が照りつけ、息が詰まるほど青く澄み渡る七月。
期末テストも終わり、ついに明日から夏休みが始まる。
綾香はもう、ずっと七夕祭りに玲央くんと行けることで浮かれている。
最近はずっとボーっとしているのが普通になってきた綾香。
まぁ、好きな人と一緒にお出かけできるなら、浮かれるなら当然……か。
「明日からの夏休み、何着ていこうかな! 浴衣、新調しちゃおうかなぁ!」
教室の片隅で、綾香は私の両手をブンブンと振りながら、嬉しそうに声を弾ませている。机の上の筆箱を片付けながら、私は「いいね、絶対似合うよ」といつもの笑顔を返した。最近はずっとボーっとしているのが普通になってきた綾香。授業中も、ふと前を向いたかと思えば、窓の外を見て頬杖をついてため息をついている。全部、恋のせい。恋って、人をあんなに変えてしまうものなんだ。でも、そんな綾香の眩しさが、時々私を少しだけ孤独にする。
「柚葉はさ、星の宮の七夕祭り、誰と行くの?」
無邪気な綾香の問いかけが、私の胸の奥に小さな刺を刺す。
「私はいいよ、家でのんびりしてるから。人混み苦手だしね」
嘘ではないけれど、本当でもない。本当は、お祭りなんて行ったら、どうしても碧のことを思い出してしまうからだ。三年前の夏、碧と一緒に見たあの神社の灯籠の光、冷たいラムネの味、優しい笑顔。あの大切な思い出を、上書きしてしまうのが、何よりも怖かった。
「あ、チャイム鳴った! 柚葉、また明日からLINEするね!」
綾香が荷物を抱えて、嵐のように教室を出ていく。放課後の教室に、じりじりと蝉の声だけが響き渡る。私の心には、碧が残していった重い鍵がかかったままだ。
机に突っ伏したままの諒くんの背中を、私はもう一度だけ盗み見た・夕方に差し掛かる西日が、彼の綺麗な黒髪をオレンジ色に染めている。この夏休み、私の心はどうなってしまうんだろう。 そんな不安と、ほんの少しの、名前のつけられない期待を抱えながら。
そして、ついに夏休みが始まった。
期末テストも終わり、ついに明日から夏休みが始まる。
綾香はもう、ずっと七夕祭りに玲央くんと行けることで浮かれている。
最近はずっとボーっとしているのが普通になってきた綾香。
まぁ、好きな人と一緒にお出かけできるなら、浮かれるなら当然……か。
「明日からの夏休み、何着ていこうかな! 浴衣、新調しちゃおうかなぁ!」
教室の片隅で、綾香は私の両手をブンブンと振りながら、嬉しそうに声を弾ませている。机の上の筆箱を片付けながら、私は「いいね、絶対似合うよ」といつもの笑顔を返した。最近はずっとボーっとしているのが普通になってきた綾香。授業中も、ふと前を向いたかと思えば、窓の外を見て頬杖をついてため息をついている。全部、恋のせい。恋って、人をあんなに変えてしまうものなんだ。でも、そんな綾香の眩しさが、時々私を少しだけ孤独にする。
「柚葉はさ、星の宮の七夕祭り、誰と行くの?」
無邪気な綾香の問いかけが、私の胸の奥に小さな刺を刺す。
「私はいいよ、家でのんびりしてるから。人混み苦手だしね」
嘘ではないけれど、本当でもない。本当は、お祭りなんて行ったら、どうしても碧のことを思い出してしまうからだ。三年前の夏、碧と一緒に見たあの神社の灯籠の光、冷たいラムネの味、優しい笑顔。あの大切な思い出を、上書きしてしまうのが、何よりも怖かった。
「あ、チャイム鳴った! 柚葉、また明日からLINEするね!」
綾香が荷物を抱えて、嵐のように教室を出ていく。放課後の教室に、じりじりと蝉の声だけが響き渡る。私の心には、碧が残していった重い鍵がかかったままだ。
机に突っ伏したままの諒くんの背中を、私はもう一度だけ盗み見た・夕方に差し掛かる西日が、彼の綺麗な黒髪をオレンジ色に染めている。この夏休み、私の心はどうなってしまうんだろう。 そんな不安と、ほんの少しの、名前のつけられない期待を抱えながら。
そして、ついに夏休みが始まった。


