恋とか、愛とか。

碧に会いに行った次の日、更に暑さが増した気がした。
クラス中から「熱すぎる!」「もう、溶けそう……」「もっと、クーラー、ガンガンにして!」って世界への愚痴ばっかり。私も熱いけど、今そんなこと言ってたら、夏本番のときやばいから。
「柚葉! 聞いてー!」
私が自分の席で本を読んでいたら、後ろから抱き着いてきた綾香。
「綾香、暑いからちょっと離して……。あ、それで、どうしたの?」
綾香は私に抱き着いていた手を離した。
「玲央くんの誕生日、八月二十一日なんだけど……。その日……」
「その日……?」
「あの夏祭りある!」
「え⁉ 本当⁉」
綾香が言う‘あの夏祭り‘とは、七夕祭りのことだ。この町で知らない人はいないくらい有名な祭りだ。そして……。有名な理由は……ほかにもある。
「それで、誘うのはどう、思う?」
「いいじゃん! 誘いな! それで……?」
「告白する‼」
「よし! 良い意気込み!」
そう! 七夕祭りのジンクス【告白したら恋人になれる】! 実際にこの星の宮学園でも5組くらい成立してるらしい。告白するって、勇気いるよね……。また、ふと、思い出してしまった。私と碧のときは碧から告白された気がする。ずっと片思いしてた碧から告白された、嬉しすぎたっていう。返事せずにそのまま家帰っちゃって、電話かかってきたな。それで、電話でOKして、付き合ったよね。懐かしいな……。あれはいい日だったな~。
「お~い、柚葉! 聞いてる?」
「あ、聞いてる、聞いてる!」
あっぶな~! 碧のこと思い出してたから、ずっと聞いてなかった……。けど、ちょっとは覚えてる気が……する……いや、しないな……。
「どこで誘うのがベスト? メール? 電話?」
「チッチッチ! CYO・KU・SE・TSU!」
「かっこつけないの! 柚葉! で、直接言うって正気? 断られたら、やばいじゃん‼」
「全然、やばくありません‼ むしろ、直接の方がいいんです! 男子はノリでいいよって言っちゃう人だから!」
「わ、分かった……。もう、今からさそってくる誘ってくる!」
「お、い、行ってらっしゃい!」
綾香の行動力、恐るべし……。でも、綾香はずっと玲央くんのこと好きだったから、報われて欲しいな~。私も昔、碧と一緒に行ったな~。そこで、初めて手を繋いだ。恋人繋ぎがさらにレベルが上がった気がする……。



一方その頃、綾香は玲央に七夕祭りを誘っていた。
「玲央くんの誕生日にある七夕祭り、一緒に行きたいです! もしよか—」
「俺に言わせてほしい!」
「え?」
「俺も七夕祭りに一緒に行きたいです! 誘ってもいい?」
「う、うん! 私も一緒に行きたい!」
「誘ってくれて……というか、行きたいって言ってくれてありがとう」
「……いえ、こちらこそ……。あ、ありがとう。誘ってくれて!」
「いいよ。……じゃあ、またメールで話そう! 電話でもいいけど……。どっちがいい?」
「私、電話がいい! ……電話、してもいい?」
「うん! 全然いいよ!」
こうして、綾香は怜央を七夕祭りに誘えたのであった。