ビシリと指を突き付けられ、言い返す言葉が見つからず、俺はしおしおと机に突っ伏した。
そうか。沢井ちゃんのあの笑顔は完全なる社交辞令だったわけか。社交辞令で舞い上がってイケると勘ちがいした俺は確かに痛いし、それ以上に哀れだ。
冷たい机に頬を押し付け、ため息。
シュワシュワの音が、だんだん弱く小さくなっていく。
「……なあ」
「なに」
「どうしたら俺にカノジョができると思う?」
「知らなーい。少なくとも“カノジョ欲しい”って言ってるうちはできないと思う」
遠慮も気遣いの欠片も見当たらない率直な答えは、まっすぐに俺の繊細な心に突き刺さった。
ああ、痛い。刺し傷からシュワシュワが滲んで零れていく。
「お前は優しさってものを身に付けないとカレシできないと思う」
「はあ? 親切で教えてやったのになにそれ! だいたい、あたしはカレシほしいなんて言ってない!」
「本当はほしいと思ってんだろ!? 見栄はってんじゃねーよ!」
再び言い合いに発展しそうになった時、廊下からひょっこり顔を出した奴がいた。
「元気だなー、お前ら。廊下まで声響いてるぞ。何やってんだよ?」
隣りのクラスの男子が、笑いながら通 学鞄を肩にかけ直している。
「おー、悪い。日直の仕事をちょっと」
第三者に声をかけられたことで、苛立ちとか焦りとかやるせなさとか、膨らみかけていた色々なものが急速にしぼんでいった。
確かこいつは帰宅部だったっけ。俺もこんな不毛な言い合いしてないで、さっさと帰るか。
せっかくの貴重な部活休みの日を、奥山とのケンカなんかに費やすなんてもったいない。俺はもっと、高校2年という青春を謳歌すべきだ。
「仕事終わったし、俺も帰ろ」
「帰んの? つーか、矢野いいのか?」
「なにが?」
「部活。さっきうちのクラスの男バスの奴、ミーティングだって慌てて出てったけど」
その言葉に俺はイスを倒す勢いで立ち上がった。
そうか。沢井ちゃんのあの笑顔は完全なる社交辞令だったわけか。社交辞令で舞い上がってイケると勘ちがいした俺は確かに痛いし、それ以上に哀れだ。
冷たい机に頬を押し付け、ため息。
シュワシュワの音が、だんだん弱く小さくなっていく。
「……なあ」
「なに」
「どうしたら俺にカノジョができると思う?」
「知らなーい。少なくとも“カノジョ欲しい”って言ってるうちはできないと思う」
遠慮も気遣いの欠片も見当たらない率直な答えは、まっすぐに俺の繊細な心に突き刺さった。
ああ、痛い。刺し傷からシュワシュワが滲んで零れていく。
「お前は優しさってものを身に付けないとカレシできないと思う」
「はあ? 親切で教えてやったのになにそれ! だいたい、あたしはカレシほしいなんて言ってない!」
「本当はほしいと思ってんだろ!? 見栄はってんじゃねーよ!」
再び言い合いに発展しそうになった時、廊下からひょっこり顔を出した奴がいた。
「元気だなー、お前ら。廊下まで声響いてるぞ。何やってんだよ?」
隣りのクラスの男子が、笑いながら通 学鞄を肩にかけ直している。
「おー、悪い。日直の仕事をちょっと」
第三者に声をかけられたことで、苛立ちとか焦りとかやるせなさとか、膨らみかけていた色々なものが急速にしぼんでいった。
確かこいつは帰宅部だったっけ。俺もこんな不毛な言い合いしてないで、さっさと帰るか。
せっかくの貴重な部活休みの日を、奥山とのケンカなんかに費やすなんてもったいない。俺はもっと、高校2年という青春を謳歌すべきだ。
「仕事終わったし、俺も帰ろ」
「帰んの? つーか、矢野いいのか?」
「なにが?」
「部活。さっきうちのクラスの男バスの奴、ミーティングだって慌てて出てったけど」
その言葉に俺はイスを倒す勢いで立ち上がった。


