「はあ?」
胡乱げな目が俺を刺す。
こいつとうとう頭がおかしくなったかと言わんばかりのその態度には、さすがに俺も少々怯んだ。
「まだ寝るには早いと思うけど」
「は? ……いや、寝言じゃねーし! お前ほんとひでぇ女だな!」
俺だって人並みに傷つくんだぞ。むしろ人より少しばかり繊細なくらいだ。
17歳、異性と付き合った経験ゼロ、もちろん性経験もゼロ。部活じゃ中学から万年控えでスタメン経験もゼロ。いいとこなしで、自信喪失気味どころか、自信を持てたためしがない。
しかし、だ。そんな俺にも春が来るかもしれないのだ。
シュワシュワという炭酸の叫びに呼ばれ、もう夏も終わるけど、遅めの春が。
「お前んとこのさ、ほら、あの子」
「なに? もじもじすんな、キモい」
「お前は……もうちょっとオブラートに包むってことを覚えるべきだと思う」
「いいから続き」
「はい。女バスの1年マネージャーとこの前喋ったんだけど……」
奥山の、汗で少し化粧が落ちて薄くなった眉が寄る。
「うちの1年マネって、沢井ちゃんのこと?」
「そ、そう! 沢井ちゃん! 初めて喋ったんだけど、ほんと可愛いなあの子! 同じバスケ部な のに女バスと練習かぶることってまずないし、話しかけたくてもなかなかそういう機会なかったんだよなぁ」
「だったらいつその機会があったわけ? 矢野と沢井ちゃんて接点ないじゃん」
「それがさ、委員会が一緒なんだよ。まあ委員会で集まってもふたりで話したりとかいままでなかったんだけどさ。この前たまたま席が隣になって、それで、なんつーか、そういう……な」
照れくささが増して言葉を濁したのだが、それが気に入らなかったのか奥山が「だからもじもじすんな」と再び俺の足を蹴った。こんなに足癖の悪い女は他に見たことがない。
少しは控え目で品のある沢井ちゃんを見習えと言いたい。見習ったところで、こいつに沢井ちゃんのような女らしさが会得できるとは思えないけどな。
胡乱げな目が俺を刺す。
こいつとうとう頭がおかしくなったかと言わんばかりのその態度には、さすがに俺も少々怯んだ。
「まだ寝るには早いと思うけど」
「は? ……いや、寝言じゃねーし! お前ほんとひでぇ女だな!」
俺だって人並みに傷つくんだぞ。むしろ人より少しばかり繊細なくらいだ。
17歳、異性と付き合った経験ゼロ、もちろん性経験もゼロ。部活じゃ中学から万年控えでスタメン経験もゼロ。いいとこなしで、自信喪失気味どころか、自信を持てたためしがない。
しかし、だ。そんな俺にも春が来るかもしれないのだ。
シュワシュワという炭酸の叫びに呼ばれ、もう夏も終わるけど、遅めの春が。
「お前んとこのさ、ほら、あの子」
「なに? もじもじすんな、キモい」
「お前は……もうちょっとオブラートに包むってことを覚えるべきだと思う」
「いいから続き」
「はい。女バスの1年マネージャーとこの前喋ったんだけど……」
奥山の、汗で少し化粧が落ちて薄くなった眉が寄る。
「うちの1年マネって、沢井ちゃんのこと?」
「そ、そう! 沢井ちゃん! 初めて喋ったんだけど、ほんと可愛いなあの子! 同じバスケ部な のに女バスと練習かぶることってまずないし、話しかけたくてもなかなかそういう機会なかったんだよなぁ」
「だったらいつその機会があったわけ? 矢野と沢井ちゃんて接点ないじゃん」
「それがさ、委員会が一緒なんだよ。まあ委員会で集まってもふたりで話したりとかいままでなかったんだけどさ。この前たまたま席が隣になって、それで、なんつーか、そういう……な」
照れくささが増して言葉を濁したのだが、それが気に入らなかったのか奥山が「だからもじもじすんな」と再び俺の足を蹴った。こんなに足癖の悪い女は他に見たことがない。
少しは控え目で品のある沢井ちゃんを見習えと言いたい。見習ったところで、こいつに沢井ちゃんのような女らしさが会得できるとは思えないけどな。


