双子センサー 〜告白したら人違いでした。〜

 ――時々思うことがある。私があんずの妹でなかったら、私はちゃんと一乃瀬 花として見られていたんだろうか。


「花〜!私部活行くから。また明日ね!」

「うん、また」

 そう言って愛衣ちゃんは、元気よく教室を飛び出して行った。高校生になってから、時間の進みが前よりも速くなっている気がする。これだけ一日が速く進むなら、私も何か部活に入れば良かったかも。なんて最近よく思う。

「帰るか……」

 私が部活に入らなかったのは、肝心なところでよくやらかすから。個人競技ならまだしも、チーム戦で私のやらかしが出たら……。想像するだけで恐ろしい。

 廊下から、外で部活をしている他の子達を眺める。オレンジ色の光に照らされて、一人ひとりが金色に輝いて見える。


「あ、兄貴告白した子だ」

 前の方――階段の近くから、聞き覚えのあるような声がする。私は窓から目を離して、声のする方を見た。

「へぇ〜、可愛い子じゃん。兄貴もなかなかやるなぁ〜」

「ぎょっ…?!……琥珀先輩?本物???」

「本物って何ー?君面白いね」

「い、いえっ!!アマリニモソックリダッタモノデ……というかなんで私の存在を?!」

 私の慌てぶりに、琥珀先輩は少し涙を流しながら笑っている。先輩いわく、こういうことらしい。

「昨日家帰ってきて兄貴が真顔で、告白されたって言ってたから」

ん??あれは、【人違い】だったはずでは?

「……嘘でしょ」

 琥珀先輩の言うことが本当だとしたら、翡翠先輩はもしかして、後輩が自分宛に告白してきたけど振ったことにしてくれたってことになる。

まさか本当に嫌われ役を……?

「どうしたの?」

「翡翠先輩に足向けて寝られない……」

「ん?やっぱ兄貴となんかあった???安心して!!俺いつでも相談乗るから!!」

――そうじゃない。そうじゃないんですよ先輩!!

 そう言おうとしたけれど、もう遅かった。先輩は軽くスキップをしながらあのツヤツヤな黒髪を揺らしながら私から遠ざかっていく。その姿は窓の外で部活に励んでいる子達よりも何倍も輝いていた。