「……あのさ、とりあえず!座る!?」
必要以上に勢いをつけてソファの方を指差す。
私、これからいろいろ重たい話するんだよね!?
すでに爽真の雰囲気に流されそうで、心配になった。
ぎこちない歩調で、いつものソファに辿り着く。
そして固い動きで定位置に座る。
手を置く位置を数センチ間違えただけで触れ合ってしまう、右隣。
あれ、こんなに近かったんだ。
今更気づいて、余計にドキドキしてしまった。
「……」
緊張を押し込めようとしている爽真の視線が、下を見ている私に注がれているのがわかる。
話し出すのを待っているのだろう。
ただ会いに来ただけじゃない。聞くべき本題を、爽真は待っている。
(それはわかってるし、私も覚悟決めないとなんだけどさ……)
話さなきゃと命令する脳に反して、唇が上手く開かずぴくぴく動く。
右側の手も肩も落ち着かなくて、爽真の視線を遮るように顔の前に手を翳した。
「……ごめん。こっちもなぜか緊張してるから、あんま見ないで……」
やっと出た声は思ったより頼りない。
切なくなってる心に反して顔も熱いし、今最高に恥ずかしい。
ぴたり、爽真の表情が止まる。
自分の顔の前に突き出された手を緩く掴んで降ろさせて、そのままぎゅっと握られた。
「何も考えずにそういうこと言うのやめろ。
話聞く気なくなるだろ」
「へ?」
なんで今怒られるわけ?
わけがわからなくて見上げた爽真の顔は、よく知った不満顔。
クールな塩男子・爽真が普通の男の子に見える、あの顔だった。
(あー……爽真だ)
急に実感して、胸の音が心地よくなる。
握られた手もそのまんま。
まだドキドキもしているけど、落ち着いて話せそうな気がしてきた。
「……爽真に隠してたことを話すって約束したから、ちゃんと話すね」
急に声のトーンを変えた私に、爽真がぴくりと反応する。
「多分怒られる気がしてるけど……。
最後は許してね、爽真」



