「えー……と?なぜそんな状況に……」
イマイチその時の状況が掴めなくて、頭にハテナを浮かべながら天井を眺める。
爽真が付き添うために、ひよりがスタッフにごねたってこと?
……で、そういう状況になるってことは、その前段で爽真が付き添うかどうかで誰かがスタッフと揉めてなくちゃいけないってことで――……
ハッとして顔を横に向ける。
誰かも何も、それで揉める人なんて他にいるわけがない。
ここにいるのが当然みたいな顔で飄々としている爽真に、怒りに近い焦りが湧き上がってきた。
「仕事に戻って」
「今更もう遅いだろ」
「なんで開き直るの?
自分がしたことわかってる?」
「わかった上でここにいる」
「わかってないよ!私が今までどんな気持ちで――」
私のボルテージが上がりきる前に、爽真の大きな手が優しく私の額を覆う。
半分くらい視界も遮られて、面食らって言葉が止まった。
「頼むから大人しくして。瑠奈」
私から自分を見えなくするように、爽真の手が私の目元を全部覆い尽くす。
指の隙間からわずかに溢れた光の先に見える爽真は、その声色と全く同じ不安で崩れそうな顔をしていた。



