――間を置いて、外に出るのを止めに走るスタッフ。
けれどもそれを振り切って、裏口の方からバタンとドアが開閉した音がする。
泣きそうな顔で、肩を上下させるひより。
心配そうに狼狽える美玲。
紫苑は――必死な顔をした爽真に抱えられていく瑠奈を思い返して、静かに目を伏せる。
人知れず痛んだ胸を覆い隠して、まだ上手くは笑えない顔を誰もいない廊下の方へ向けた。
「……戻ろうか、美玲ちゃん」
美玲が紫苑の方へ顔を上げる。
数秒間を置いて彼女へ振り返った時には、一応の笑顔を向けられた。
「俺たちまでいつまでも引っ込んだままだと、変に勘繰られるかも知れないし。
俺たちだけでも最後までやり通さなくちゃ、じゃない?」
――私はまだ、混沌とした闇の中。
誰の腕の中にいるかもわからず、意識のない体をずっとその人に預けていた。



