台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―




13:30。

まだ混んではいるけれど、少し落ち着いてきたから店内組も2人ずつ順番に休憩を取ることになった。

店外組はもう少し前に休憩に来た。
だから、抜けた穴は店外組が交代で埋めてくれる。

「誰から行く?」

一度4人で集まって、紫苑がそう問いかけた。

「俺は後でいい」

間髪入れずに、爽真。

「あっ……じゃあ、私も……」

控えめに手を挙げる美玲。
心配そうな視線を私に向けながらそう言った。

つまり、私と紫苑が先。
それを悟った瞬間、爽真の眉が一瞬ピクリと動いた。


「ふーん。じゃ、決まり。行こっか、瑠奈ちゃん」


意見を翻すのは認めないとばかりに、紫苑はさっさとキッチン奥のスタッフルームに歩いていく。

私も――今日ばかりは先に休めるのは正直助かるし、ふたつ返事で紫苑の後について行った。


――スタッフルームは、正直狭い。
ロッカーに圧迫された空間に、床座りできるようなスペースだけ。

紫苑と2人、ドア横の壁に並んで座る。
我慢してた分どっと押し寄せる倦怠感に、立てた膝に頬を乗せた。


「なんかさ、今日メイク濃くない?瑠奈ちゃん」


隣でじっと私の顔を見ながら、紫苑が怪訝そうに首を捻る。

「んー?うん、そうね。少しやりすぎたかも」

顔色悪かったから、カバーするためにちょっとだけね。

さすが女慣れしてる男。
細かいとこまでよく気付くなぁ。

「なんか今、失礼なこと思ってなかった?」

「へっ!?……思ってないけどぉ?」

「本当かなぁ。怪しー」

態とらしくジトっとした目で私を睨んでくる。
それを笑顔で誤魔化せば、紫苑がふっと肩を揺らした。

「……まぁいいけど。ところでさ、俺が教えたフラグ探しスレ、見た?」

「あー、うん。見たよ。
今のところ綻びになるような特定はなかったと思うけど」

「ちょっと変わった視点の人がいてもスルーされてたしね。
……爽真の演技についてとか」