「え、えと、……あの……」
「ねぇいいじゃん。教えて教えてっ」
「SNSで拡散とかしないから〜」
(――いや、絶対やるでしょ!)
すでにスマホを手放してない時点で怪しい。
見てるこっちがやきもきしてきた。
(しょうがない、さりげなく助け舟を――……)
そう思って注文確認の反復速度を早めた時、美玲の背後に爽真が立った。
「困ってるんで」
温度のない顔で美玲にしつこくしていた子たちを一瞥して、キッパリと。
爽真が美玲を守った決定的瞬間に、その場にいた誰もが目を見開いて注目した。
当の本人はやっぱり無風で、美玲すら見ずにその場を去っていく。
びっくりしつつ、ときめいているのを隠せていない美玲の顔。
一瞬止まった店内のざわめきが、色を変えて再開する。
「何今の!?メロすぎない!?」
「やっぱそうまってみれいにだけは優しいんだ……!」
「こんな守り方されたら好きになるって!」
湧き立つ黄色いはしゃぎ声。
さっきまで爽真と紫苑にはしゃいでいた女の子たちが、友達の恋バナで盛り上がるみたいになっている。
……ああ、そっか。
これは恋リア。
どんなに塩対応でも、“好きな子には特別”を見せれば観客は納得して盛り上がってくれる。
「美玲ちゃん、大丈夫だった?」
「……うん、ありがと……」
「ごめんね、すぐにフォローできなくて」
美玲が場を離れた後で、紫苑が駆け寄ってさりげなく彼女を気にかける姿を見せる。
目の前で繰り広げられた美玲を挟む三角関係に、お客さんたちはより一層色めき立つ。
「やばっ……本当に取り合われてるじゃん!」
「いいなぁ、私もみれいちゃんみたいな美少女に生まれたかった」
「ほんと、守りたくなる女子No.1だよね」



