台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

開店早々満席になると、ホールは目まぐるしい忙しさになる。

次々に飛び交う呼び出し。
そして何より厄介なのが――接客の合間に、会話を求められること。

「うーわ、るな様の実物マジで可愛い!」

カップルで来店した卓に着いて、私は注文を取るポーズをしながら微笑んで黙っている。

はしゃぐ彼氏と、白い目を向けて無言の彼女。

「“ドキドキした?”ってセリフ、言って!」

まだ開店してすぐなのに。
……このリクエスト、何度目だろう?

「え〜。瑠奈ぁ、狙ってああいうことできないので♡
ごめんなさーい♡」

求められているのは、下着事件の時に陸を煽った囁きボイス。
そんなこと、彼女持ちの男にできるかー!


内心げんなりしながら、とっとと注文に誘導して卓を去る。
上手くかわさないとこうやって、永久に絡まれ続けてしまう。

提供待ちの商品を提供カウンターに取りに行くテイの背中に、まだ彼女からの警戒と敵意剥き出しの視線が刺さる。


(自分だって、さっき紫苑に案内されてはしゃいでたじゃんっ!理不尽!)


あざと悪女キャラ、しんど。
アオバケの中ならいくらでも恋愛クラッシャーやるけど、本物のカップルまで壊す趣味ないって。

提供卓を確認するふりをして、ホールに背を向けて長い息を吐く。

やっぱり今日、体重いな。
昨日の疲れが残ってるからかもしれない。