台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


「すみませーん!」
「はぁーい♡」

海の家、想像の10倍忙しい……!

ひっきりなしに呼ばれて、商品を運んで、かれこれ2時間はひよりと店内を駆け回っている気がする。


「アオバケのひよりちゃんですよねっ!?」

「ふぇえ……!?えと、そうです……っ」

「実物ほんとにちっちゃい!かわいい〜♡」

お客さんの中には中高生のグループやカップルも大勢いて、実は視聴者だという人に声をかけられることも度々ある。

普通にバイトと同じ働きをして、男性グループ客には“瑠奈”の愛嬌撒きも忘れない。

カメラだけじゃなくて、お客という名の視聴者の目もあるから、一瞬たりとも気が抜けない。


大和と爽真はキッチン担当。
慣れない大きな鉄板の前に立ち、オーナーに教わりながら焼きそばにイカ焼きと顔に似合わない豪快な料理を作っている。

そんな姿を、視聴者女子たちは卓からメロついた顔で見物している。


これ、普段はオーナーとその奥さんと、2、3人のバイトだけで回してるんだよね……?


ホールを駆け回る小麦色の健康的な肌色の奥さんと、キッチンの中で鉄製のヘラを振るう筋肉マッチョなオーナーを尊敬を通り越して恐れ慄いて見つめる。

そうしている間にもまた呼ばれて、もはや反射神経で笑顔を作って駆け出した。