8月26日。木曜日。
9:00。
何となく定例化しつつある、紫苑との朝の2ショットタイム――という名の、情報共有会。
白いテラスと、動いているフリをするカメラ。
ガラス一枚隔てた背後では、みんながいつも通りの生活をしている。
「一晩経って、やっぱり増えたね。美玲ちゃんの鞍替えに対する共感的な意見」
テラスの柵に腕を置きながら、紫苑は今日も穏やかな海を眺めている。
「生配信のコメ欄は、私と紫苑の相性の良さに動揺しつつ、認めざるを得ないみたいな流れになってた。
それを目の当たりにする美玲可哀想……って、そりゃなるよね」
「口裏合わせただけなのにね」
紫苑が急にこっちを見て、悪戯っぽく笑いかけてくる。
「……。それが自然にできてたってことでしょ」
海を見たまま、素っ気ない返事をする。
紫苑はいつも通り、綺麗な王子の顔をしながら楽しそうに黒い話をしている。
昨日の告白なんて、夢だったと錯覚しそうになるほどに。
(こっちは発言ひとつすら、気を遣わなくちゃいけなくなったのに!)
変に気を持たせないように、思わせぶりにならないように。
かといって走り出してしまったこの共犯関係を、今更やめることなんてできないから。
みんながいるリビングに絶対に表情を見せないように、鉄の意志で前を向き続ける。
そこに爽真がいることも知っているから、余計に。
やりづらさに顰めた顔を、紫苑はさりげなくずっと見つめている。
苦いけど、嬉しい。
いつもの、矛盾した感情を孕ませて。
「そうだ、瑠奈ちゃん。
今密かに盛り上がり始めてるスレッド、知ってる?」
9:00。
何となく定例化しつつある、紫苑との朝の2ショットタイム――という名の、情報共有会。
白いテラスと、動いているフリをするカメラ。
ガラス一枚隔てた背後では、みんながいつも通りの生活をしている。
「一晩経って、やっぱり増えたね。美玲ちゃんの鞍替えに対する共感的な意見」
テラスの柵に腕を置きながら、紫苑は今日も穏やかな海を眺めている。
「生配信のコメ欄は、私と紫苑の相性の良さに動揺しつつ、認めざるを得ないみたいな流れになってた。
それを目の当たりにする美玲可哀想……って、そりゃなるよね」
「口裏合わせただけなのにね」
紫苑が急にこっちを見て、悪戯っぽく笑いかけてくる。
「……。それが自然にできてたってことでしょ」
海を見たまま、素っ気ない返事をする。
紫苑はいつも通り、綺麗な王子の顔をしながら楽しそうに黒い話をしている。
昨日の告白なんて、夢だったと錯覚しそうになるほどに。
(こっちは発言ひとつすら、気を遣わなくちゃいけなくなったのに!)
変に気を持たせないように、思わせぶりにならないように。
かといって走り出してしまったこの共犯関係を、今更やめることなんてできないから。
みんながいるリビングに絶対に表情を見せないように、鉄の意志で前を向き続ける。
そこに爽真がいることも知っているから、余計に。
やりづらさに顰めた顔を、紫苑はさりげなくずっと見つめている。
苦いけど、嬉しい。
いつもの、矛盾した感情を孕ませて。
「そうだ、瑠奈ちゃん。
今密かに盛り上がり始めてるスレッド、知ってる?」



