台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


――和に洋。
水菓子に焼き菓子、生クリーム。

たくさんありすぎて、ぶっちゃけどれが好みなのかわからない。

だけど、ここは一先ず。


「……瑠奈、紫苑くんの分選ぶからぁ。
爽真くん、美玲ちゃんの選んで?」


シュークリームとフロマージュを片手ずつに持って、吟味してるフリをしながらそう持ち掛ける。

爽真ならこういう時、ちゃんと渡す相手のことを考えて選んでくれる。

その相手が美玲ならなおさら。

それって、すごくキュンとする画になりそうじゃない?

そうやって打算を働かせるのに、爽真の顔は見られない。
その構図を思いついた時から、ちくちく痛む胸が邪魔をしたせいだ。


(仕事中の嫉妬、退散!)


ましてや今は、巻さんの信用テスト中。

カメラに抜かれる私は、絶対に完璧な“瑠奈”でなくちゃ――……


「スイーツ巡りが趣味なんだろ。
なら、意見欲しいんだけど」


背けた顔に届いた、淡白な声。
その内容にびっくりして、両手に持ったスイーツを行き来していた目が中途半端な位置で止まった。

(そんなこと、いつ言ったっけ?)

ゆっくりと爽真の方に目を向けると、その表情はいつもの如く気怠げな無。

けれど私には視線だけは真剣なように見えて、でまかせを言っているようには思えない。

いつ。いつそんなこと――……

紫苑のためのスイーツを見て、ハッとする。


『スイーツ巡りしたりぃ、猫カフェ行ったり、かなっ?』


――そうだ、オフの前日。

紫苑に休みの日の過ごし方を聞かれて、そんな嘘を言ったんだった。

きゅう、と胸が甘く締まる。

そんなテキトーな雑談を、ちゃんと覚えていてくれたの?

あんなの出まかせだし。
爽真も“嘘つくな”って顔してたじゃん。

ああでも、“瑠奈”の言葉として受け取って、
今ここに当てはめてきたんだとしたら。

この場においてあの嘘は、真実ってことか。


(あれ?そしたら、猫……)