――……
出発して、5分経過。
生っぽい蒸し暑さが、肌にまとわりつく。
遠くに潮の匂いと、すぐそこの草むらから、虫の声。
強い光に目が眩んで、夜空に星は見えなかった。
(要は、そんなに会話がない)
「瑠奈たち、相性悪い同士なんだってぇ」
「へぇ」
「よく番組のコメントとかでも言われてるもんね?
相性最悪ペアとかぁ」
「知らない」
そんな感じで、投げかけた話題を一言で片付けられるから、続かない。
“瑠奈”はうるさいけど、豊かな話題を提供できるキャラではないし……
そもそも私も、“瑠奈”で爽真に何を話せばいいのかわからない。
あちこちからスタッフの視線。
背中には、明確に巻さんの厳しい視線が刺さっている。
紫苑に夢中な“瑠奈”は、異性の爽真にぶりっこした態度はとるけど、一応の距離感は保つ。
巻さんには私と爽真の裏の関係を疑われているのだから、なおさらカメラの前ではキッチリ演じないといけない。
それを、爽真もわかっているはず。
なぜなら私よりずっと前から、私に絡むなと言われているはずだから。



