台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


――なんっだこの茶番は。


朝から仕込まれた“運命のワンシーン”。


【いい雰囲気で会話する】って雑な指示だけで、ここまで甘くなれるんだからすごいわ。あの2人。

スタッフも、たぶん本人たちも、この空気が正解だと思ってる。


そして。


「瑠奈ちゃん、そろそろ出番ね」


側にいたスタッフから、小声で合図される。

「……はぁい♡」

ハーフツインを軽やかに跳ねさせ、残り半分の階段を降りていく。

私は今からあの空気の中に、特攻しなければならない。

――……


「あっれぇ?もう誰か起きてる。
瑠奈が1番だと思ったのになぁー」


階段を降りた瞬間、リビング全体に届くくらいの声と共に笑顔を振り撒く。

鼻にかけた超高音。
こんな朝からよう出るわ、と自分で自分に感心した。


恋人未満の距離感だった2人の横顔が、びくっとして離れていく。

マグカップのコーヒーもたぷんと揺れていた。


「……おはよう」


2人の視線が同時に私へ向く。

私は何も気づいてないふりで、ソファの後ろに立って2人の間に割り込んでいく。