何も喋らない無音の間。
しばらく経って、ようやく瞬きをして伏し目になった紫苑がうっすらと笑みを浮かべる。
「買い被りすぎじゃない?
……少なくとも、崩れる瞬間は俺にもあったよ」
「そうなの?全然気づかなかった」
それはつまり、許容範囲の崩れだったってことで。
「センサー死んでる香月さんじゃ、気付けないだろうね」
ポンと反動をつけた紫苑の手が、前のめりになった彼の体を起こさせる。
私も体を支えるためについていた肘を伸ばして、元の体勢に戻った。
「前も言ってたけど、センサーって何!」
今更胸がドッと音を鳴らして、緊張していたことを知らせてくる。その分だけ強がって、語気が強くなった。
顔を顰める私を無視して、紫苑はソファから立ち上がる。
「ちょっと、無視――……!?」
噛みつこうとした時、紫苑が急に振り返る。
観念したように片眉を下げるその笑顔は、幼く見える本当の微笑みだった。
「好きだよ。俺――……香月さんのこと」



