台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


8月3日。火曜日。
6:00。

白いテラスに続く大窓から、夏の朝日が燦々と差し込む。

固定カメラが見守る大きなソファに、隣り合う2人の後ろ姿。


紫苑と、美玲のメインペアのだ。


2人の前で、カメラはもう回っている。


そして私は――

女性スタッフと一緒に、女子フロアに繋がる階段の途中で完全武装して控えていた。


「コーヒー、ミルク入れる派?」

「あ、うん。あとお砂糖も……」


ローテーブルに置かれたスキムミルクを手に取り、よそよそしく紫苑が美玲の顔を覗く。

美玲は淹れ立てのコーヒーが入ったマグカップを持ちながら、恥ずかしそうに頷いた。


「わかる、一緒だ」


微笑みかける紫苑に、美玲が思わず目を逸らす。


「あ。でもミルク入れる前にさ。飲んでみようよ、ブラックで」


何も気づかずふざける紫苑と、戸惑いながら頷く美玲。


「……じゃ、せーのでいくよ?せーの……」


ごくり。


「うわっ……」
「……んっ」


「「苦いね」」



クスクスと、甘酸っぱい2人の笑い声が重なった――……