台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


「悪かった、俺も」

びっくりして、振り返る。

真面目な顔。
いつもと変わらない真顔なのに、温度がある。

爽真の持っているアイスはポタポタと滴り落ちて、今にも棒から滑り落ちそうになっていた。


「演技なんか初めてするのに四六時中、気ぃ張ってなきゃいけなくて――
なのに瑠奈が反応に困ることばっかするから、イラついて八つ当たりした」


――何この人。

感情あるどころか、めちゃくちゃ豊かじゃん。

爽真の耳がほのかに赤い。
気まずさを、前髪をかきあげて堪えている。


(……なんだろう?この感情)


胸がざわざわして落ち着かない。


「……アイス、落ちそうだけど」
「あ」


ふわっとした感覚のまま、口をついて出た言葉はそんなことで。

瀕死状態のアイスに気づいた爽真が、ちょっと焦って大口開けて一口でそれを食べ切った。

冷たさに顔を顰める爽真に違和感。

動物を観察するみたいにじっと見つめていると、不意に爽真と目が合う。
バツが悪そうに眉を寄せて、むっと唇を結んだ顔が子どもみたいだった。


「……っふ、ははっ」


思わず笑いが漏れる。