8月24日。火曜日。
残された時間も使えるチャンスも、思った以上に少ない。
大切なものを守るためには、計画的かつ早急に動かなくちゃいけない。
――6:00。
見た目は完璧な“瑠奈”に変身した私は、彩加と美玲の部屋のドアを静かにノックした。
「――はい……?」
非常識な時間の訪問者を警戒する、細く顰めた声がする。
腰を低くして顔を覗かせた美玲は、目の前で堂々と立っている私の姿を認識して少し驚いたような顔をした。
(やっぱり早起き。もう支度がバッチリできてる)
そばかすのひとつもない滑らかな陶器肌。
真っ直ぐ艶やかに肩下まで伸びる、ミルクティー色の綺麗な髪。
いつ見ても皺ひとつないブルーのワイシャツは、彼女の清廉さを表している。
美玲は、多分とても素直な子。
けど、純真無垢とはちょっと違う。
だからこそ――誰と対峙するより緊張するし、怖い。
「おはよ♡美玲ちゃん」
内から放たれるヒロインの輝きに負けないように、意識的に声のトーンを甘ったるくする。
唇と目元に、綺麗な三日月を意識した。
「今、ちょっといいかなっ?」



