台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


深夜0時。

誰もいないリビングで、1人ソファで膝を立てて座っている。

右隣の空席は、そのままに。

来るかも、なんて期待をしているわけじゃないけど。
ここが1番、自分の思考を整理できる場所と時間だから。


(……嘘。ちょっとは期待してる)


思ったことを即撤回する、頭と心のちぐはぐさ。

「――……」

何の気なく爽真の定位置へ伸びた指が、さらりとそこ撫でて、ちょっと切ない気持ちになった。


(……いやいや、センチメンタル禁止!
今日は、落ち着いて思考をするためにここに来たんだから)

ふう、と肩を上げて下ろして鋭く息を吐く。

ポケットから取り出したのは、スマホとイヤホン。


観たい動画は2つ。

お買い物クイズの生配信アーカイブと、今日のご褒美デート生配信のアーカイブ。

その中の、爽真×美玲への視聴者の反応だ。

パカ、とイヤホンケースの蓋を開けて、左耳用をひとつ取り出す。


両耳を塞いだら物音に気付けなくなるから、片耳だけ。


そういう理屈でそうしてるのに――
無意識にいつも爽真がつけていた右側を残してしまって、また勝手に凹んだ。


「あー、もうっ」


そんな自分がもどかしくて、つい強めの独り言が漏れてしまう。

誰も見ていないけどカッコつかなさが恥ずかしくて、顔を顰めて荒い手つきでスマホを操作した。