テレビを見ているふりをしながら、大和は密かに私たちの雰囲気を伺ってハラハラした顔をしている。
爽真×美玲が展開し始めたこの場で、自分の立ち位置を考えようとしていると――
リビングのドアが開いて、撮影準備に来たスタッフたちがドヤドヤと入ってくる。
「おはようございます」
スタッフさんの顔を見て、美玲が真っ先に挨拶をする。
「おはよう〜。というか、あれ。
もう美玲ちゃんと爽真くん絡んでるの?」
気さくな女性スタッフが、美玲と爽真のもとに駆け寄ってくる。
「も〜言ってよ〜。いい雰囲気のシーン、撮りたいのに」
「ふふ、そんなのじゃないですよ」
「またまたぁ。ね、爽真くん」
女性スタッフが、アイランドキッチンの向こう側から身を乗り出して爽真の方を見る。
爽真はなんて言うんだろう。
昨日の放送を見るに、ちょっとは美玲に惹かれてる風に見える“爽真”は。
「……ですね」
明後日の方を向いて、無感情に、無表情で、それだけ。
ただ、“いい雰囲気”は、肯定してた。
(正解。正しい。あれは、爽真→美玲のストーリーの中にいる“爽真”の反応だから)



