――そのすぐそばで、私は不自然に大和に背を向けて、引かない頬の熱を必死で冷ましている。
(落ち着け。大和がキッチンに来る前に、早く“瑠奈”を取り戻さなくちゃ)
頬に当てた両手が、そこが全く言うことを聞いてくれないことを伝えている。
演技に集中できない。
こんな異常事態初めてだから、どうしていいかわからない。
(そうだ、100までの素数でも唱えよう。
2 3 5 7 11 13 17 19……)
「ところで、瑠奈はずっとそこで何してるの?」
「……!」
心頭滅却しようとした頭に大和の声が割り込んできて、ビクッと大きく肩が跳ねる。
“瑠奈”の声に合わせようとした周波数が、ほんの少し狂った。
「る、瑠奈はぁー……あの、そう!エプロンの場所を探してる、かなっ?」



