「待って待って。ごめんね?
イジりすぎた。可愛くてつい」
「瑠奈は戻らなくていい。
戻るのは紫苑だから」
今度は2人して私をあやし始めた。
「機嫌直して瑠奈ちゃん。ねっ?」
「瑠奈、悪かった」
「……」
あまりにもご機嫌取りしてくるから、逆に機嫌を直すタイミングを失うほどに。
(もういい。現実逃避してこの場から逃げよう)
「……瑠奈、今から今日配信分のアオバケ観るから。
もうほっといてください」
おもむろにスマホとイヤホンケースを取り出して、ソファの上に膝を立てる。
イヤホンケースの蓋を開けて左用のイヤホンを取った瞬間、右側から右用のイヤホンを取り上げられた。
「俺も観る」
こっちを見ながら、当たり前のようにイヤホンを装着する爽真。
その上、“スマホ持つけど”とばかりに手を差し出してくる。
いつもの流れで、なんの気なくスマホを爽真の手に乗せたのを見た紫苑の目が、微かにヒクつく。
次の瞬間、左耳にイヤホンをつけようとした私の手首を緩く紫苑が掴んだ。



