台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


(――うわっ!そうだ、忘れてたぁあ――……!)


サーッと血の気が引いて、いろんな感情と思考が衝突事故を起こして表情がバグる。

「あ。今“忘れてた”って思ってるでしょ。
ひどいなー。明日も行くよって、ちゃんと言ったのに」

すこぶる明るい紫苑の声。
表情もにこにこと人懐っこくて、なんか妙にテンションが高い。

そんな紫苑を、爽真はずっと冷ややかな目で刺している。

どうやらすでに、ここに来るまでに一悶着あったらしい。


「気済んだだろ。じゃ、帰れば?」

「いやいや、何言ってるのさ。こっからでしょ。
――ね?瑠奈ちゃん」


私を見つめて名前を呼ぶ紫苑の声が、ワントーン低くなる。

“さて、どうするの?”って試されているみたいで、急に頭が冷えた。


――まず、“私”をどうするか。

カメラはない。
いつもなら、素の香月瑠奈を出してる場所。

ただ、紫苑が求めているのは、たぶん“それ”。

一回見せてしまえば満足して引き下がるんだろうか?