「見ててね爽真くん。いくよー……」
ガン!グシャッ
「……」
「……」
打ちつけただけなのに、作業台の上で卵が爆発した。
「卵まで殺すなよ」
「殺してないもんっ」
むむーっと“瑠奈”として可愛くむくれて見せる。
けど、内心は“あとで覚えてろよ”と指をポキポキ折っている。
「このペア、思ったより会話のテンポいいなあ」
「どっちもキャラ濃いから、漫才的な面白さがありますね」
巻さんの背後で、スタッフたちがひそひそと囁き合う。
それをなんとなく耳に入れながら、巻さんは私たちから目を離さない。
シナリオの歪みを、見逃さないようにしているかのようだった。
「……はぁ。いい。俺がやる」
飛散した卵の処理を完了させた私を押し除けて、爽真が作業台に立つ。
節ばった綺麗な指がカゴの中から卵を一つ取り出すと、何でもないことのように片手で卵を割り出した。



