「“俺”的にはありがたい半分、ちょっと複雑ではあるけどさ、」
最後に残った角に、紫苑の長い指が黒を置く。
パタパタパタっと、盤面が黒く染まった。
「投票してくれた視聴者の人たちには、ちゃんと報いないといけないよねって思うわけ」
――あ。負けた。
思った瞬間、紫苑がローテーブルに置いたスマホカメラの録画を切る。
私が反応するより早く、私の手をとって自分の肩にかけさせた。
反動で上半身を持っていかれて、強制的に紫苑と向かい合わせになる。
顔同士数センチの距離感で、紫苑が甘く微笑んだ。
「“目を逸らしたら負けゲーム”。
はい、瑠奈ちゃんがコールして?」
言いながら、私から目を逸らさずに伸ばした紫苑の手が、もう一度スマホをタップする。
ポン、とビデオ撮影が始まる無機質な電子音がした。



