♡
パチンパチンと、静かな室内に白と黒の駒が交互に置かれる音がする。
「あ、いい手。“意外と”強いね。瑠奈ちゃん」
この“意外と”は、多分“瑠奈”に掛かっている。
「でしょー?この真ん中の小さい四角の中から攻めるといいって、前SNSで流れてきたの覚えてたの♡」
――なーんて、“瑠奈”っぽい嘘だけど。
「わぁい♡5枚返し♡」
「あっ。見つからないと思ってたのに」
なんて、隣同士で、友達みたいな距離感で。
盤面が白くなったり黒くなったりくるくる変わるから、
ちょっと面白く思ったりもして。
平和に撮れ高が重なっていく。
そう、平和すぎるほど平和に。
「俺と瑠奈ちゃんのペアさ、今回の得票数一位だったみたいだよね」
勝負も終盤に差し掛かってきた頃。
盤面を黒に変えながら、唐突に紫苑がそんなことを言った。
「……ねっ、瑠奈嬉しいなぁー♡
紫苑くんと瑠奈がぁ、お似合い♡ってことだもんね」
とりあえず撮れ高継続中だから乗っておく。
パチンと白の駒を置いて、黒を2つひっくり返した。



