台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―

私をおもちゃにして面白がる、紫苑の土俵には乗らない。


そっちがオンとオフの境界を揺らす気なら、こっちは徹底的にオンの演技を続けるまで。


「答えて、紫苑くん。どれだと思うっ?」

紫苑の腕に手を添えて、さりげないボディタッチ。


(こんな露骨に迫られたら、引いちゃうのが“紫苑くん”だよね?)


さっき紫苑がしたのと同じくらい近くに迫って、その耳元に囁いた。


「……やっぱ飽きないなぁー。瑠奈ちゃん」


ほとんど動いていない薄い唇から、ぽそ、と低い呟きが漏れ聞こえる。

不穏。
そう思った時、ふっと紫苑がこっちを向いた。


「今のは、何かが上手くいった時の“わぁ”、かな?」


ひゅっと掠めるお互いの鼻先。
おでこもコツンとぶつかりかけた。

丸くなった私の目に、楽しそうに細まる紫苑の目。


“上手くなんていってないよ、残念でした”


そう突きつける余裕綽々な笑顔に、心臓がざわざわした。