「……」
珍しく紫苑が黙って、室内をゆっくり見回す。
ダイニングテーブルにはアクションカメラに手持ちカメラ。
リビングの真ん中に、録画停止中の三脚で固定したカメラ。
ソファ前のローテーブルには、パーティーゲームも各種取り揃えられている。
日曜日の休日に、お家デートで退屈しない仕様――
そんな感じのセッティング。
「……はぁ。まぁいいや。文句言っててもしょうがないし」
あ。切り替えた。
紫苑の顔が、年相応からちょっと大人びた表情に変わる。
「企画の間は自撮りカメラばっかで、撮影のオンオフまで自由に切り替えられるみたいだし――
あれ、もしかして結構楽しくなりそうじゃない?この時間」
紫苑の妖しい微笑みを見た瞬間、ビービーとうるさく鳴り出す心の警報音。
「……。室内の四方にある固定カメラは、今も元気に動いてるよ〜?」
“カメラは常に回ってるからな?”と暗に釘を刺しておく。
「あんなの、全部チェックなんかしないでしょ。
さ。常に撮れ高狙ってこーね?瑠奈ちゃん」
あー言えばこう言う。
こー言えばああ言う。
一瞬でも気が抜けない1時間が、今始まろうとしていた――……



