渋い顔をする私の真上に、淡白な声が落ちてくる。
瞑りっぱなしの目を開けると、真上には夏の太陽と水を滴らせた爽真。
「……。これ、どういう状況?」
「こっちが聞きたいくらいだ」
ザブザブと爽真が水の中を歩く。
それに合わせて、ぷらぷらと私の足も揺れる。
後ろに、スライダーに放り出されてはしゃぐ人の声。
俗にいう“お姫様抱っこ”をされているのに気づいたのは、それから数秒後。
「うわっ撮れ高!」
「安心しろ、撮られてない」
ほんとだ。カメラどころかスタッフもいない。
こんなに美味しいシチュエーションなのに?
ほんと、表爽真とは噛み合わない。
「今日のデートは多分使われないよ。絵面が地味すぎて放送事故だ、こんなの」
「お前の頭はそればっかりだな」
だってせっかくの爽真とのデート企画だったのに。
ちょっとは使われたかったじゃん。
水から上がるまで、歩くペースはゆっくりで。
昼の私たちも、やっぱりカメラには収まらないのだ。



