ついに頂上に辿り着いて、水の流れる音がするところまでやってきた。
前に並ぶカップルは3組。
心の準備をする前に、順番が来てしまいそうだ。
「たっっっか!やばくない?これ。
この高さから水の中に叩き落とされるの?」
柵の中から真下を見下ろして唖然。
周りに聞かれないように、爽真に寄って声を顰めた。
「……」
なのに、返事がない。素で無視された。
ムスッとした仏頂面。
何この人。わけわからんタイミングで拗ねてる。
「ちょっと!困るよ爽真くん。
ほら、順番来ちゃうからっ」
濡れたラッシュガードの余った袖で、ペシペシと爽真の腕を叩く。
「……うざ」
気怠そうに腕を組んだ爽真の目が、密かにまんざらでもなさそうになってきた頃――
ついにその時がやってきた。



