台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―



ペタペタと足音を立てながら、滑り止め付きの鉄製の階段をぐるぐると登る。

“練習”スライダーだから、カメラは一旦下がってもらって、アクションカメラも手放せた。


私の後ろには爽真。当たり前に爽真。

1人で滑って水の中に放り込まれるなんて、怖すぎて無理だもん。


「怖いならやめとけばいいだろ」

「嫌だ!やる!怖いからやらないなんて、プロの世界には通用しないんだから!」

爽真が呆れたように黙る。

そもそも階段を登る前から私の心境を察してただろうに、止めなかったのは多分この性分を知っているからだ。


「撮れ高を他でつくればいいだけだと思うけど」
「無理!表爽真とじゃ何もおいしくならないから」


無視されるし、冷たくされるし。

集団の中でそれならエンタメだけど、2人だけだとただ爽真の感じが悪いだけにしかならないし。

速攻で否定した私に、爽真がムッとした顔をする。

そのくせ何も言わないから、私はぶつぶつスライダーへの悪態をつきながら、どんどん階段を登っていった。