台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―




碌な撮れ高もないまま、1時間後。


「じゃ、瑠奈ちゃん、爽真くん。今日の目玉イベントね!」


腕には防水小型カメラ。
聞こえるは、キャーキャーはしゃぐ声。


目の前には……高さ数十メートルの巨大ウォータースライダー。


真っ青なスライダーの出口から、間を置いて次々に人がプールに投げ出されている。

ザッパーン。キャー♡


……いや、“キャー♡”じゃねぇよ。


天高くそびえるスライダーの頂上を見上げて、思わず白目剥きそうになっている。

「瑠奈ちゃん大丈夫?顔白いけど……」

「うふ、瑠奈ぁ、日焼け知らずなんで大丈夫でぇーす……」

女性スタッフが心配そうにしているのを、頬に手を当てて笑って誤魔化す。
隣で見ていた爽真が、微かに眉を寄せて息を吐いた。


どうするどうするどうする。
とりあえず、スライダー自体は多分イケる。気合いで。


ただ、問題はこの腕にくっついているアクションカメラ……!

これ、スライダーの中の私たちの顔をしっかり映すために付いてるやつ。

こんなものでドアップで抜かれたら、終始放送事故を起こす気しかしない。

撮れ高は撮れ高でも、顔面崩壊レベルの変顔だけは絶対NG!


この状況を打破するには……!!


ピッと可愛く指まで逸らせて挙手をする。
爽真やスタッフの注目が、私に集まった。


「はい♡撮影する前に、予行練習がしたいです♡」