――その動作に背を押されて、プールサイドにかけた手が弾みをつけて離れる。
プールサイドから体が離れた途端水の中に落ちる重力を、爽真が私の脇下に手を差し入れて支えた。
ゆらゆらと左方向に流れる足。
水の中で空気を含んで膨らむ、黒いラッシュガードの裾。
だけど爽真がしっかり支えてくれているから、水底に足がつくまで上体は安定していられた。
ゆらりと着地すると、爽真の肩に片手をついて水の流れに抵抗する。
しっとりとした肌の感触と温度が、水の冷たさを中和して、なんかドギマギしてしまった。
「……こーゆーときは、横から撮られる構図を作った方がいいのに」
助けてもらったくせに、ぽそ、と文句。
爽真は私を支える手を離すと、間髪入れずにゆるりと水の中で揺蕩う私の手を取った。
「撮影用にやってないから」
私が流されないようにしっかりと手を握って、さっさと背を向けて流れに沿って歩き出す。
カメラのレンズの角度からは、きっと各々でつまらなそうに歩いているようにしか見えなくて。
(……だから!これじゃ撮れ高にならないじゃん!)
心の中は文句たらたら。
頭上に照りつける太陽は熱くて、水温が5度くらい上がった気がした。



