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前置きカットの撮影を終えて、プール遊びの撮影に移行する。
流れるプールのテキトーな場所から、爽真は静かにその中に侵入する。
プールの流れに合わせて、楽しそうに流れていく人たち。
その隅っこで、流されることもなく爽真はまだプールサイドにいる私を見上げていた。
(……流れ、結構早いな。おまけにそこそこ深い…)
背の高い爽真でも胸元が少し水面に出るくらいだ。
こっちを向く無機質なカメラのレンズが、“早く入れ”と圧をかけてくる。
「……」
ビビってるなんて口が裂けても言えないから、ゆっくりとプールサイドに腰掛けて足だけ水の中に入れてみる。
つま先を入れただけでもわかる、冷たさと水の流れ。
思い切って膝までつけた瞬間、想像より強めの力で足が流されてぴく、と口元に力が入った。
クールを装った爽真が、私のことを見透かすようにずっとリアクションを待っている。
深く俯いて長い髪で顔を隠して、ム、と眉を寄せながら囁いた。
「……ビビってるから……っ、フォローして」
爽真目が、数秒丸くなって固まる。
次いで、ふっと息が漏れた音がしたかと思うと、カメラに背を向けて私の前に立つ。
私だけに向けた顔は、ちょっとはにかんで笑っている。
「頼るの遅すぎ」
そう言って、私に向かって両手を差し出してきた。



