「え、やば。女の子可愛くね?」
「可愛い……けどぉ、性格すごいよ。あの子」
「地雷系的な?でもスタイルもめちゃくちゃいい――」
バサリ。
突然、爽真が羽織っていたラッシュガードを脱ぎ出す。
何事かと面食らっているうちに、その襟元を握る爽真の手が私の背中から肩に向かって回る。
私の胸元でパーカーの襟元を閉じさせるように両手を合流させると、不機嫌そうにため息を落とした。
「? どーしたの?爽真くん……」
不可解な行動に思わずきょとん。
爽真の手が離れていっても、私には大きすぎるラッシュガードは私をすっぽりと包み込んでいる。
怪訝な顔で口を開き掛けた爽真が一旦言葉を飲み込んで、一度表情を無にしてからまた口を開いた。
「……それ、着とけば」
(なんで?)
爽真の奇行に、思わず眉間に皺が寄りかける。
取り急ぎ“瑠奈”を貼り直した。
「よくわかんないけど、ありがとー♡爽真くん」
ハテナだらけで爽真のラッシュガードに袖を通す。
袖口は余るし、裾はミニワンピみたいだし。
せっかくの水着も真っ黒に覆い尽くされてるし。
(大人っぽくしたかったのに、結局子どもみたいじゃん)
渋々唇を尖らせながら袖を捲る私を、爽真は盗み見る。
(これはこれで――無理だろ)
カメラ越しじゃわからないくらい僅かに、耳に赤みが差している。
微かに浮かぶ困っている表情を、私にもカメラにも見られないように黙って横を向き続けていた。



