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6月10日。13:00。
「美玲!聞いたよ〜!
アオバケ出演、決まったって」
とある芸能科の高校の、2年A組の教室。
華やかな顔立ちの親友が、私の目の前にきて声を顰める。
「しかも、あの瀬名爽真くんもいるんでしょ?
うわっいいなぁ〜。好きな人と恋リア出演とか、もう運命じゃんっ」
「そんなことないよ。……ナイショだけど、シナリオとか、決まってるし」
否定したけど、“運命”って言葉に胸がときめく。
だって、ずっと見てきた。
見ていた、だけだった。
いつかあの何に対しても無関心そうな瞳の奥にある感情を覗いてみたくて。
何を考えているかわからない、
凛としたまっすぐな目元も。
誰にも揺らされない強さも。
私にはないものを持っているあの人が、ずっとずっと好きだった。
「げー、シナリオ……?残酷〜……」
「ね。でも、せっかくの一緒のお仕事だもん。
頑張るよ、私」
シナリオの力であなたの視界に留まれるうちに、
少しでも近づけるように。



