台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


❤︎

5月10日。16:45。


「あっあっあ―――!!受かりましたぁっ」


通学路の真ん中で、栗色の髪をふわりと広げて【アオハルvacation一般公募オーディション合格通知】と表示されたスマホを高く掲げる。

同じ制服を着た女の子達が、不思議そうにひよりの方に振り返った。


春の日差しを受けて光るスマホを、ひよりは大切そうに抱きしめる。

人目も憚らずひとりで笑顔を漏らす彼女の横を通り過ぎる女子数人グループが、クスクスとバカにした笑いをこぼした。


「やばぁ」
「天然ちゃん(笑)ウケるよね」


刺さる悪意に、ひよりは一瞬表情を止める。
それでも、お守りみたいに抱きしめたスマホを握ってひよりは笑う。


(大好きなアオバケに出られるんですから。
今度こそ。今度こそお友達を作りたいです……っ)


そんな、小さな願いを心に秘めて。