自分の名前が刻まれた相関図をぼんやりと眺めながら、沈んだまま一向に上がってこないモチベーションに溜め息が漏れる。
とりあえず帰ろう、いつまでも座ってても仕方ない。
気怠く立ち上がり、ドアを押し開けた時。
「きゃっ」
ドアの前の廊下を、ちょうど白石美玲が通りかかった。
「……悪い」
タイミングの良さに面食らう。
俺の顔を確認した白石も、目を丸くして固まっている。
「あ、……せ、瀬名くん……お疲れ様」
消え入りそうなか細い声、気弱そうな笑顔。
――白石美玲って美人だけど奥手すぎるんだよなー。
芸能界向きじゃないっていうか。
……なんて、同期の誰かが言ってたことを思い出した。
「……おつかれ」
「あ、うん。えと……、」
そんな白石が、俺の顔を意味ありげにじっと見つめてくる。
白い頬は、ほんの少しあからんでいるような気がした。
「何?」
長すぎる沈黙に、ドアを閉めながら白石の目を見て眉を寄せる。
すると白石はこくんと喉を鳴らして、開きかけていた口を素早く閉じた。
「う、……ううん!なんでもない。
じゃあ、また……ね」
焦った様子で背を向けて、白石はさっさと走っていってしまう。
わけがわからないと首を捻りながら、アオバケの企画書を雑に丸めて、バッグの中にしまい込んだ。



