♡
「陸くんが何か叫んでますっ」
私たちから少し離れたところで貝殻を探していたひよりが、ハッと振り返る。
「陸がうるさいのは、いつものことだからなぁ」
砂に半分埋まった貝殻を拾い上げながら、大和がしみじみと呟く。
「そうですねっ確かに!
でも今朝は元気がなかったので、元気になってよかったですっ」
嬉しそうに笑うひよりに、大和もふっと頬を緩める。
「ひよりは“ちゃんと”、陸のことが好きなんだね」
「わわっ大和くん、ストレートすぎますっ」
ひよりの顔がぽっと赤らむ。
それからちょっと間を置いて、肩を竦めた。
「でも、そうですね……。
はい。陸くんのこと、大好きですっ」
「そっか」
どこかホッとしたように、大和の表情も柔らかく緩む。
にこにこぽわぽわ、春の陽気みたいな空気が漂っていた。
そこに、彩加の明るい声が割り込んでくる。
「大和っひよりっ!どう?貝殻見つかった?」
「あ、彩加ちゃん。何個かは見つけましたよ〜」
彩加の後を少し遅れて、爽真も追いついてくる。
容赦なく照りつける日差しに辟易としながら、集めた貝殻を手のひらに乗せていた。



