甘い囁きに、陸の頬が火がついたように赤くなる。
「んなっ……な゛っ……な……ッ!」
「わー、野良猫みたいな鳴き声♡
陸くんてほんとおばかさーん♡」
パッと離れてふわふわと陸から逃げていく。
「ふっざけんなぁあああ!」
顔を真っ赤にして震える陸の、悔しそうな声が海の向こうにこだました。
――少しだけ離れたところにいた紫苑が、貝殻を探すふりして私達の様子をじっと見ている。
狼狽えている陸が私に噛み付いているのを見て、思わずクッと含み笑いした。
「……どうしたの?紫苑くん。
何か面白いこと、あった?」
隣にいた美玲が、きょとんと首を傾げる。
紫苑は緩く首を横に振った。
「や、何も。
……あ。ほら、綺麗な貝殻。また一個見つけたよ」
そう言って、紫苑は砂のついた白い貝殻をひとつ手に取る。
「わぁ。本当に探すの上手だね、紫苑くん」
「……うん、まぁね」
手のひらに乗せた貝殻を、紫苑はそっと握りしめた。



