撮影隊は紫苑・美玲ペア以外のペアを周回しているから、私たちのところにはまだいない。
陸がなぜかしおらしいのをいいことに、頭の中で作戦会議をすることにした。
今回は陸とペアだから、そもそも恋愛的な撮れ高が取りにくい。
私の主要顧客層である男性視聴者をターゲットにするなら、コミカルさより色っぽさを押し出した方がウケるんだろうけど――……
陸相手にそれをやると、“紫苑に一途な瑠奈”との整合性がとれない。
アオバケのメイン層である女性視聴者からも、確実に嫌われる。
(そこのバランス!バランスが、難しいんだよなぁ――……)
陸にも背を向けてるし、カメラにも映っていないから、
くうう、と素直に渋い顔をする。
1人悶々としている私の背中を見ていた陸が、急に話しかけてきた。
「あ、のさっ!」
「……ん?なぁに?」
声に反応して、陸の方に振り返る。
きょとんとする私に、陸は気まずそうな顔をしている。
「……あの、その……」
目は泳いで、言葉が喉に引っかかっているかのように言い淀む。
ずっと続く「あの、その」に、私は首を傾げ続けた。
「……あの!」
突然、陸はパッと立ち上がる。
面食らっているうちに、今度はガバッと頭を下げた。



