台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―




ザザーン……と、波の音は今日も穏やか。

日の光が反射してきらめく波打ち際に、紫苑と美玲、絵になる2人が佇んでいる。

「綺麗な貝殻って、意外と見つからないね」

寄せる波に背を向けて、美玲は真面目に貝殻探しをしている。

しゃがみ込んで小さく丸まっている美玲の横顔を、紫苑は静かに見つめている。

「……えいっ」

パシャッ

波が寄せた瞬間、砂浜に伸ばした美玲の手に紫苑が優しく水をかけた。

「きゃっ、……冷たい!」

びっくりしながらも、クスクスと楽しそうに紫苑に笑いかける。

「ごめんごめん。すごい真面目な顔してたから、つい」

紫苑も子どもみたいな屈託のない笑顔を返す。


海面のきらめきが、10倍くらい増した気がした――


――けふ、げろあま。


私たちより明らかに数の多い撮影スタッフに囲まれながら、青春のピュア恋を演じる2人を遠目に見てしまって胸焼けする。

久しぶりの“2人っきりの紫苑×美玲”の供給。

このペアはもちろん仕込みだ。
だってくじ引き、最初に引かされてたし。

他は多分、仕込みなし。
私も指示をもらってないし、できたペアもちぐはぐだったから。