――彼の脳裏には、瑠奈に近づいている時ばかり自分に向けてくる、挑発的な紫苑の顔が浮かび上がっている。
瑠奈にも周りにも気取られないように、確実に自分だけを刺す目。
だから、理屈をどう並べられても信用なんてできない。
……それに。
頭を突き合わせながら、自分にわからない話をしていたことも、
瑠奈がアイツのことを認めてるようなことを言うことも、
気に食わない。
「そうだとしても過剰。アレで番組側に距離取れって、なんで言われないわけ?
……俺は言われてんのに」
――「不満です」って顔で、爽真は私を見下ろしてくる。
眉を顰めて、目がクッと細くなって。
への字に固く結んだ口元が、ちょっと可愛いと思ってしまった。
「……へぇ、そんな指示出てるんだ。
巻さんてホント、雰囲気作り徹底してるね」
きゅんとしてしまった胸を誤魔化すために、ふいっと爽真から顔を背けて平静を装う。
「でも、まぁ。紫苑が私に接触するのを止めない理屈は、なんかわかるよ」
ずっと握っていたスマホを取り出して、操作する。
アオバケ第一話後編のコメント欄を爽真に見せた。
「“紫苑×瑠奈”。
ちょっと人気出てるんだよね」



