(その人に興味なくたって、嫌ってたって)
爽真は、聞いたことを真面目に受け止めて考えてくれる。
最初にペアになって、買い出しをした日の爽真を思い出す。
柔軟剤のサンプルの香りを、ちゃんと確かめて答えをくれた。
内容自体はどうでもいい、撮れ高のための仕掛けだったのに。
爽真が屈んでいるせいで、美玲との顔の距離が近い。
一緒になって首を傾げている姿がやけに絵になって、なんか2人の世界みたいだ。
胸を満たす石鹸の香りが急に蘇って寂しくなる。
クールな見た目に似合わない、あの飾らない香りに、美玲も気付いてしまうのだろうか?
「瑠奈ちゃん、聞いてる?」
紫苑の冷静な声に引き戻される。
唇から笑顔が消えそうになっていたのに気付いて、口角に力を入れ直した。



