「…………はよ、」
ボソ、とやっと出したみたいな掠れ声。
火花を断ち切った爽真が、不本意そうに美玲に向き直る。
「まだ眠い?あ、寝ぐせ。ついてるよ」
美玲の細い指が、珍しく跳ねる爽真の黒髪のひと束を撫でる。
「あー……うん」
爽真が素直に触らせるから、なんか2人の世界みたいになっている。
「……」
(微笑み、微笑み。笑顔を絶やしてはいけない。)
「……なんか爽真くん、雰囲気柔らかくなりました?」
「あっ俺もそう思う!」
大和を挟むひよりと陸が、両サイドから顔を覗かせあって噂する。
「……?そ、そうかな……?」
朝から不穏な空気に巻き込まれている大和だけは、“むしろ逆では……?”と曖昧に頷いている。
『そして、最下位は……
ごめんなさーい、射手座のあなたです』
急速に距離を縮めたように見える美玲と爽真に、傷ついている顔を作る紫苑。
「えーっ紫苑くんみてみて!瑠奈、最下位だったぁ」
空気も読まずに、ふえーんとでっかい声でかわいこぶる私。
「あー、直らないか。濡らしてきたほうがいいかもね」
何度も爽真の寝ぐせをなでつけながら、クスクスと笑う美玲。
「……そうする」
無機質な瞳の奥に、ドス黒いオーラを押し隠す爽真。
(……何これ!?一体どういう状況!?)
台本の矢印は読めるのに、それ以外の矢印の方向も強さもまったくわからない。
(本音の……ヤラセも嘘もなしの個別インタビュー動画がほしい……!)
――そんなふうに思った、金曜日の、爽やかな朝。



