台本通りの恋はしない!―仕組まれた恋リアで、本気で恋しちゃダメですか?―


「瑠奈、“順序”は守ったほうがいいと思うの!」

咄嗟に“瑠奈”のままさりげなく牽制。

“順序”とぼかしたけど、これは“シナリオ”のこと。
暗に“シナリオを無視して私に迫るな”と言ったのだ。

紫苑は一瞬きょとんとして、視線を横に流す。
受けた言葉の真の意味を汲もうとしてる、そんな感じだ。

少しして、紫苑の目線が戻ってくる。
余裕綽々の、妖しい笑顔だ。


「“順序”は守ってるよ?
でも瑠奈ちゃんに近づくのはやめない」


……ん?それは矛盾じゃないか?

紫苑は私を避けないと。
“美玲への一途な純愛”にならなくない?

紫苑は私の目の揺らぎを逃さない。
クス、と笑って静かに口を開いた。


「瑠奈ちゃんに近づくのが絵的に間違ってるなら、そこはカットされるだけでしょ。
カメラの前で“順序”さえ守っておけば、そこは問題なくない?」


そう……なの、か?

……いやいや!カメラ回ってるんだからやめろって話だし!

この人、本当に油断ならない。


「ま、あとはスタッフに変に目をつけられないようにする必要はあるけど――……」


紫苑の目が、チラッとソファ前に設置された固定カメラを見る。


「その辺は俺、上手くやれるから」